久し振りにかき揚げ蕎麦を食べた。
私は露に浸した揚げ物の苦手で、別盛りの天ぷら蕎麦は食べるが、載せる蕎麦はほとんど食べない。この手の載せ蕎麦狸は、小学生の時分に卒業してしまった。確か伯母の家で、たぶん料理が得意でない伯母なりのもてなしのつもりだったとは思うのだが、蕎麦の上にかき揚げと天かすを大量に載せてくれた。それを完食したのがきっかけで、食べなくなった。
それでも数年に一度は、気まぐれに頼む。これを私なりに食べるには、可能な限り迅速に、かき揚げを器から救出してあげればいい。食べなくなって数年は衣が苦手だと思い込んで、天婦羅も食べなくなっていた。暫くして天婦羅を食した際に、蕎麦つゆに浸してふやけた衣が駄目らしいと思い至った。
載せ物では他に、カツカレーを注文した後で、ルーをカツの上にかけられて出されてくると、少し機嫌が悪くなる。でもこれは、その店なりの個性と思って、前向きに楽しむようにしている。